共催:株式会社日建設計 一般社団法人渋谷未来デザイン
  後援:株式会社新建築社
  協賛:株式会社アカツキ
  

最新情報

2019年4月26日
「2次審査結果発表」ページ、「審査講評」ページをアップしました。
2019年2月12日
「1次審査結果発表」ページ、「コンペ公開2次審査会観覧者募集」ページをアップしました。
2018年12月11日
応募登録の受け付けを締め切りました。
2018年9月1日
ホームページをオープンしました。
応募登録の受け付けを開始しました。
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過去のコンペ

審査講評

審査委員長

 

岸井隆幸

日本大学理工学部特任教授/都市づくりパブリックデザインセンター(UDC)前理事長/計量計画研究所 代表理事


今回受賞した作品は,200点以上の作品の中から選ばれた10点というだけあって,それぞれ大変内容の濃い作品であった.3年目となる今年は「Shibuya」的なパブリックスペースというテーマを設定したが,これを応募者の方がたがどう解釈するかが非常に楽しみであった.渋谷のまちを実際にこう変えていきたいという提案もあれば,「Shibuya」的なるものが何かを分析して,渋谷以外のまちでパブリックスペースを展開しようとしたグループもあり,大変幅の広い捉え方がなされていた.行政の管理する公共空間や周辺の建築物に限らず,そこに実際にいる人びとのアクティビティこそがパブリックスペースの性格を決めているのだという問題意識や,今回挙げられた「予定不調和」「サブカルチャー」「小さなレベルの集積」といった渋谷に付随するキーワードなど渋谷のまちづくりに関わる私にとっても大変参考になる提案が多かった.みなさんがこの先仕事をしていく上で,パブリックスペースについて考える場面は必ず出てくるだろう.今回の経験を活かし,次もわれわれを驚かせるような案を現実の場で展開していただきたい.

審査委員

 

西沢立衛

横浜国立大学大学院Y-GSA教授/SANAA/西沢立衛建築設計事務所代表


今回重要だったのが,パブリックスペースとは何か,また「Shibuya」とはどのような場所なのかを考えることであった.最優秀賞の「人と虫と鳥とまち」(大熊美菜子案)は,人間中心主義ではない万物の集合する世界を暗示させ,新たなパブリックスペースの可能性を感じさせる最優秀賞にふさわしい案だった.そのほかにも幅広い提案がなされ楽しく聞かせていただいた反面,審査の基準をどこに設けるかが難しい課題となった.一方で全体の印象として,イベント的な提案が多く見受けられた.パリに流れるセーヌ川や日本の神社のような,より普遍性のあるパブリックスペースの提案がもっとあってもよかったと感じる.個々の場所の使われ方はさまざまあってよいと思うが,その背後にある根源的な思想についてより深く掘り下げて考えることも重要だろう.次回はそういった議論が生まれることを期待して,私自身もパブリックスペースについての考えを日々深めていきたい.

 

林千晶

ロフトワーク代表取締役/渋谷未来デザイン FUTURE DESIGNER


建築のコンペは初めてなので,参加を楽しみにしていた.実際のプレゼンテーションもおもしろく,渋谷未来デザインでFUTURE DESIGNERを務める私にとって,学びになることが多かった.例えば「Shibuya」をどう解釈するかを考えた時,象徴的な場所である「スクランブル交差点」で捉える人もいれば,渋谷の街,あるいは東京や上海など「多様な人が集まる場」と解釈する人もいて,スケールの異なる多様な視点からの提案があった.また渋谷は観光客も多く,海外からの新鮮な目で渋谷を捉え直している応募作品もあり,印象深かった.提案する空間の大小に関わらず,重要なのはその人にとって「渋谷がどういう街であって欲しいのか」という問いであったと思う.その問いがそれぞれのアイデアに現れていて,まるで生き様を見るようでもあり,真摯に審査させていただいた.この審査を通じ,また渋谷の楽しみ方が増えた.

 

佐藤夏生

EVERY DAY IS THE DAY
Creative Director, CEO /渋谷未来デザイン FUTURE DESIGNER


渋谷未来デザインでFUTURE DESIGNERを務めていることもあり,渋谷視点でアイデアを見ようと審査に臨んだ.プレゼンテーションを聞いて,建築が街に与えられる影響は無限大だと,大きな可能性を感じた.一方で,アイデアの実装に対してもっと深く真剣に考えてもよかっただろう.私の中で建築家とは,ある概念や哲学を形に落とし込む分野のプロフェッショナルである.地球や土地という有限なものに対して,100年残るものをつくる責任があるのではないか.アイデアだけで止まっている応募案を見て少しもったいないと感じた.アイデアの豊かさと実現の交点をより解像度高く追求した案も見たかった.経済性が重視された20世紀に比べ,21世紀のものづくりは,社会との関係性を考えることが重要になっていると思う.私のバックグラウンドは建築ではなく,マーケティングやブランディングだが,例えばNPOは社会との関係性をより考えるようになってきていて,おもしろい時代になってきたと思う.この総合格闘技のような状況の中で,誰よりも建築の可能性を信じて,大きな妄想を必ず実現していくぞという気概を持ってチャレンジし続けてほしい.