入選作品

※ 色味は実物と異なっています

洗川尚大（フリーランス）

このユニットは西側と北側にそれぞれ特徴のある開口部を持っていて、それがこのユニットの空間性に大きく関わっている。ユニットを対角の壁で2つの部屋に分割することで、個々の部屋がそれぞれ西側と北側の開口部を持つようにした。部屋Aは西側に掃出し窓を持っている。窓の外にはバルコニーがあり、対面の建物は離れていて、午後には明るい日差しが入る。また、玄関・キッチン・水周りにつながっている。部屋Bは北側に腰窓を持っている。対面の建物は西側よりはずいぶん近く、朝には東の空のやわらかい光が入る。また、玄関からは部屋Aを通って入る。大きな収納を持っている。ユニットを対角に分割することで生まれた2つの部屋は、等価優秀賞　難波千帆でありながらも、それぞれが持つ開口部・接続する空間・プロポーションなどによって微妙に性質が異なる。斜めの壁によって開口部に向かう伸びやかさや多様な方向性が生まれ、コンパクトなユニットの中に面積以上の拡がりが感じられる。また、三角形状の部屋は広い場所や狭い場所を生み生活の様々な活動に対応することが出来る。等価でありながらも、適度な差異を持つ2つの部屋。そんな2つの部屋を設えることが、ここでの生活にふさわしいのではないかと思った。
（応募図書より）