最優秀賞
銭湯のあるまち── 森林とリンクする賃貸住宅
信州大学 寺内美紀子研究室
(斉藤知真 有田一貴 加藤知紀 齋藤裕 鈴木巧)
左から,斉藤知真氏,加藤知紀氏,有田一貴氏,齋藤裕氏.
【敷地】 長野県長野市郊外
【抽出した地域の課題】
不動産価値が維持されている長野駅周辺や,長野県善光寺周辺の門前の魅力を生かしたブランド力のあるエリアに建つ建物のリノベーションと,郊外エリアのリノベーションには格差が生じており,魅力的な再生が見い出せていない.
【賃貸の仕組み】
郊外エリアに建つ団地を銭湯を付帯した施設としてリノベーションし,団地に住む住民が番頭となり維持管理業務を請け負う.エネルギー源として長野県の森林資源を活用して運営を試み,森林活用問題の解決という長期的な視野も入れながら,オーナーは入浴料と家賃料収入によって施設を回していく.
【建築空間】
平行して建つふたつの団地建物を繋げるように銭湯を配置.各住戸では初期コストのかかる浴室を取り払ったリノベーションを行い,住人は日常の生活の中で温浴施設を利用する.ふたつの建物の間にウッドデッキを設け,地域コミュニティの受け皿となる場所をつくる.
◯寮をリノベーションするプロジェクトは多々あるので,いま銭湯をつくる現代的な価値が何なのか,それに対する新たな賃貸住宅のありように踏み込み提案がなされるとよかった.(千葉)
◯森林の問題や森林組合を巻き込んだシステムが丁寧に考えられている.シェアハウスでも賃貸住宅としても可能性があり,幅広い層がターゲットにできる.(赤松)
◯地域に根根差したプログラムであり,信州ならではの森林を生かした解決策であることがよいと思った.銭湯がなくなりつつある中で,こういった賃貸住宅の展開はあると思う.(小林)
◯課題設定が曖昧な部分があるが,本当にこんな場所がつくられたなら住んでみたいと思う.門前町の魅力あるエリアと共に,潜在的な場所の魅力が引き出せそうな提案だ.(連)