第60回セントラル硝子国際建築設計競技 暇な駅
テーマ 暇な駅
「暇な駅」とはどのような駅でしょうか.おそらく列車が一日に数本程度しか来ないような駅で,駅舎は小さく,列車を待つ間,時間を持て余すこともあるでしょうし,もしかすると駅舎そのものも「暇」を感じているかのように見えるかもしれません.
「暇」は辞書によれば,「なにもしなくてよい時間」を指し,「退屈」とは異なる意味を持ちます.「余暇」とほぼ同義とされますが,少し意味を広げて解釈するならば,時間や空間,暮らしに余白がある状態とも言えるでしょう.その余白が一般的な駅とは異なる機能や役割を担うのかもしれません.忙しい駅は列車や利用者の往来が絶えず,経済的価値が高い場所です.そのような駅では商業施設が併設されても機能的で効率的な運営が求められます.一方で,駐在する駅員のいない無人駅は,駅の管理に地域コミュニティとの繋がりが必要になるかもしれません.
「駅」は基本的に,どこか目的地へ向かうための通過点ですが,なにをするでもなく駅で佇む時間や,そこでの偶然の出会いには情感があり,映画やドラマの舞台としてもしばしば使われます.暇な駅には広場や公園に近い役割もあるのかもしれません.
暇な駅を設計してください.具体的な場所や地域,周辺環境については提案者に委ねられています.実在の場所を設定することも,架空の場所を創造しても構いません.仕組みづくりにとどまらず,空間や素材,スケールを伴う建築の提案をお待ちしています.